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No.95 マカオレース

全日本選手権後、少しのピリオドを設けた。
心身ともにリフレッシュさせたあとは、すぐにシーズン後半戦が
待っている。
全日本選手権から2週間はレースを走らない。だがそれは完全オフ
ではなく、今シーズンをともに戦うコラテックの代理店であるダイ
ワ精工株式会社さん主催である「カクタスカップ」に出場。
マウンテンバイクのイベントであるが、十分強度的には練習レベル
になるし、違う筋肉を使うことで気持ち的には違うスポーツを楽し
む=精神的にはすごくリフレッシュすることができた。

2週間後、再びロードレースのフィールドへと戻ってきた。
だがそれは実業団レース「Jツアー」ではなく、マカオで行われた北
京オリンピック開催を記念して行われたロードレースだ。
このレースは北京オリンピック開催を記念して、中国はもとより台
湾や韓国、そして日本から招待チーム、そして中国や香港、地元の
マカオなどから20チーム以上が参加して行われた。

この数年、いろいろなことで香港のクラブチームとジョイントして
選手育成、そして事業も行い始めている。
その一環で今回は自分がマネージメントし主催しているマサヒコミ
フネドットコムサイクリングチーム(以下MMサイクリングチームに
省略)から4名も招待してもらった。
自分自身は大会のホストチームということでインターナショナルサ
イクリストチームというミックスチームで参加。そして国内では
チームメートとして一緒に活動する日置大介がマカオのクラブチー
ムにゲストライダーとしてジョイント、以上6名が日本から参加し
た。

今回のレースは1位から10位までに賞金、そしてポイント賞にも賞
金が設定されており、いやがうえにも盛り上がる。
やはり賞金の設定があるということは選手としてのやる気もそうだ
が、選手としてどうやってその賞金を手にするか、それを考えなが
ら走ることは非常に重要で、そして選手としての経験値をあげるこ
とが可能だと考えている。

香港およびマカオは雨期。前日に到着して練習に行っている間は、
し湿度が高くウェアが重くなっていくが降られることはなかった。
しかし練習終了後から雨、当日も朝方までかなり降っていたよう
だ。
おかげでコースの一部が川のようになっている。
そのすべてを含めてのロードレース。
たとえ道に穴があろうと、承知で走るということは受け入れるとい
うこと。
主催者が川の区間まではニュートラルということでレース開始。
サウスチャイナシーでも使われるマカオのコロアン島周回コース、
コースは知り尽くしている。メンバーしだいでレースは厳しくもな
るしやさしくもなる。だがコースを熟知しているのは断然有利だ。

雨は上がっているものの路面はほとんどがウェット。
下り区間やコーナーで落車している選手がいるようだ。
集団自体は全体的にスローペース。梅雨独特の高温多湿(朝の天気
予報では27℃で80%以上)空を見ると明るいので晴れてくる。下手
をすると全体のペースはあまり上がらないかもしれない。まずは誰
が走れるのかを見極めるように集団で様子を見る。

2周おきにゴール地点となる丘陵地の頂上で韓国チームがペース
アップ。スプリンターにポイントをとらせようということか。
ラスト200メートルあたりで先行するが韓国の選手に差される。か
なり勢いがある。
下っていくところで完全に集団の動きは止まっているようであっけ
なく逃げに変わる。
韓国チーム
大塚(MMサイクリングチーム)
香港のクラブチーム
そして俺。

その後少し膨れ上がるも登りで4人。
韓国チーム
チャンピオンシステム
香港のクラブチーム
そして俺。
このメンバーでしばらく走り、集団とは30秒前後で推移する。
今回のチームメートは2人がオーストラリア人。そしてケンジこと
ルン・チーイン。
去年までディスカバリー・マルコポーロにいた選手で、香港で面倒
を見ている選手だ。
たぶん彼らは集団にいるに違いない。
そう考えると韓国人がかなり切れのあるスプリントをしてくること
を考えると、できることならあと1人か2人、それこそ3人いてもい
い。
逃げグループの中では常に余裕を持ってローテーション。吸収され
てからの動きを視野に入れて走り続ける。

しばらくすると秋山(MMサイクリングチーム)、ケンジ、そしてその
他も数人合流し、先頭グループは10人。
賞金を考えるとあと1人か2人欲しい。
だがどうもここらで今日のレースの面子は出揃ったようだ。ケンジ
と2人でレースを動かすことを考える。

4回あるうちのスプリントポイントでは韓国人が1位3回と圧倒。俺
は2位2回。ポイント賞は基本的に捨ててゴールに賭ける。

4回めのポイント、ケンジと秋山がするっと抜け出す。
韓国人が俺を完全にマーク、他の選手も俺をマークしている。
その流れをケンジは感じとり、ペースアップしたのだ。
あとは秋山と二人でそのまま行ってくれればいい。韓国人がパニッ
クになってくれれば折れとしても何かアクションを起こしやすい。
ラスト2周を切ったところで2人とグループのタイム差はおよそ10秒
ほど。
俺はグループをけん制しケンジをサポートする。
長い登りを前にコブのように登る区間で韓国人がアタック、俺が反
応して2人で抜け出す。
まずは正攻法で俺は引かない。そのうち徐々に差が詰まり、登りで
前に追いつき4人になる。この4人で今日のレースを争うことになる
ことはほぼ決まった。ここからはフィナーレである。

ラスト1周に入り、秋山が先頭で変わらない。
ここでケンジが力尽きたのか足が痙攣して脱落。俺としてはケンジ
トラスト4キロあたりから揺さぶりたかったのでいいシチュエー
ションじゃない。
先頭に出てケンジを待とうとするが秋山が先頭から変わらずペース
を上げていこうとする。その番手には韓国人、そして俺。
秋山は3位狙いなのかとにかく先頭から変わらない。俺としては攻
撃を仕掛けたいので先頭を交代しながらプレッシャーをかけていき
たいところだが、秋山はとにかくこのままゴールまで変わる気がな
いのかずっと道を蛇行しながらアタック。
これは俺を助ける動きではない。どちらかというとむしろ韓国人に
有利だ。
アタック合戦になれば少し登りで重そうだった彼に不利に働くはず
だ。だが秋山が結果的にペースを作ることで走りやすくしてしまっ
ている。
ラスト4キロの登りもペースアップしてアタックしているようだ
が、俺たち二人にすればアタックを「かけ続けている」状態で既に3
キロ、スピードは遅くはないがペース走だ。
ラスト3キロに突入。移動審判からのインフォメーションだと後続
は完全に射程圏外。これで俺にしてみれば揺さぶることができる区
間はほぼ失ってしまった。あとはゴールスプリント狙い。

ここまで2回スプリントをしたが完全に彼のほうがスピードで上回
る。
それにこの1周は完全に回復させてしまうことになってしまった。
どうするのか・・・
本当なら先頭交代をさせながら登りでアタックを仕掛けて消耗もし
くは抜け出しを試み、だめなら最後に消耗仕切った状態でスプリン
トをするというシナリオだった。
だが完全にイージーペースの中で1周を走りきってしまった中でス
プリントだ。

ラスト300メートル。秋山先行。
韓国人は俺だけを見ている。
どこで(スプリントを)しかけるのか?
ギヤは・・・

ラストの登りは7%ぐらいの勾配でゴール前だけ少し緩い。
初めて走ったサウスチャイナシーでここがゴールのときは15Tぐら
いで失速し7位ぐらい、2001年は集団から抜け出して逃げきったも
のの差されて2位。
失敗をしないよう慎重に背後から彼にプレッシャーを与える。
アウターの15T。
ラスト200メートルを切る。
韓国人が目を前に向けてタイミングでスプリント開始。
自分では伸びている。足が回りきっている感覚を得る。
あと5秒ほど回しきればいい。
ゴールがどんどん近づいてくる。
今度こそ勝ったか!・・・
・・・だがそのとき左背後から気配が迫る。
ハンドルを持つ手に力を入れなおし、とにかくペダルを踏む。踏ん
だらすぐに反対側を踏む。それを繰り返す。
ラスト10メートルで横に並ばれ、気合い一発もう一踏みし直すが、
ラスト5メートル前に出られて負けてしまった。

やはり登りで強引に一か八かで仕掛けを打つべきだったか・・・
だが自分で選んだ作戦、やるだけやったしそれに優勝した韓国人自
身は経験がないのは明らかだったが、十分すばらしいスピードをも
つ選手だった。
指しで勝負して勝つのは非常に可能性の低い選手だったと思う。
ひとまずはこの大会で2位になったことは素直に喜んでもいいだろ
う。
15秒遅れて出し切った表情の秋山、そして1分半ほど遅れてケンジ
がゴール。
最終的には30数人がゴールという結果だった。
やはり高温多湿という環境が影響したのか、前評判ほどは選手個々
のパフォーマンスが低かったよう感じる。
いろいろな選手に聞いても足が痙攣したとか、暑さがきつかった、
そして香港を中心に連日雨のためまともに練習できずパフォーマン
スを発揮できなかったと言っていた。

シーズン後半に向けてのオープニングとしては十分にいいイメージ
でレースを走ることができた。
やはり選手はレースをしてナンボ、レースを走っているときが一番
エキサイティングで楽しかった。
ゴール後、気分的には明日にでも次のレースを走りたい気分。
こんな気分でレースシーズンを進んでいけることが一番だ。

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