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No.083 東日本実業団ロード
今年の実業団レースの開幕戦は、群馬県の群馬サイクルスポーツセンターで行われた東日本実業団ロード。このレースは今年コースに近い水上村が大会スポンサーとなり、優勝者には優勝賞金として100万円が設定されるという大盤振る舞い。モチベーションが上がらないはずがない。
スタートからスピード自体は流れるように進んでいく。遅くはない。
レース自体賞金額がいきなり100万円になったからと言って距離が伸びたわけじゃなく108キロのまま。あまり仕掛けるのが遅れると取り返しがつかなくなる。見極めて・・・と考えていたら橋川を含む逃げグループが先行する。
まず俺はチームから守られている立場なので、橋川の逃げを利用できるような作戦を組み立てていく。
橋川と佐野、松村らを含む逃げに対して集団は30秒ほどだ。
登りで集団のペースが少し詰まったところで前に追いつこうというアクションが始まる。
これは利用できる!
そう思ったタイミング、前の選手が集団が詰まったことで接触して落車、逃げ場がなくそのまま突っ込んでいき、そして後方の選手も乗り上げてくる。
前の選手が急にストップしたことで逃げ場がなかったが、最大限回避することに集中し、大事には至らなかった。
だが、後方の選手に突っ込んでこられたことで再スタートすることができず、結局立ち止まった選手や倒れた選手の中で最終の方でのスタートとなってしまった。
周りには誰もいない、単独での追走。登りを終えて小グループに追いつくが、ここにいても話にならない。
すぐにこのグループをパスして前のグループへ。
シマノの飯野らのいるグループにも追いつくがこれもパス。
ほぼ1周かかって、少しまとまった追走グループに合流。俺のほうもレッドゾーンでの追走のためそろそろ休まないと限界だ。このグループで集団に追いつけばいいが、無理なら少し休んですぐにペースアップしなければ・・・
集団との差は1分ほどか。そして集団と先頭グループは3分ほど。
先頭グループには橋川や松村が入っているようで、マトリックスとしては集団を止める動きで進めている。
このタイミングで追いつければ最高だが・・・
集団ではブリヂストンが前を追走。さすがに3分ほどのタイム差は好ましくない。
俺たちのグループと集団とのタイム差はまたもや広がり、1分を越える。
このタイム差だとゴールへの直線を走るとき、集団は旧ゴール地点の直線を走っていてすれ違う、もしくは集団が行き過ぎたぐらいのタイミング。
前から佐野が脱落し俺たちのグループに合流。
とにかくあきらめることなく走り続けることにする。
中盤を過ぎて、さすがに前に追いつくことは不可能、あとは一応ゴールまで辿り着くように走り続けることにする。
俺たちのグループは全体的に疲労気味。
このまま走っても完走すらままならない。
何人かの選手と一緒にグループから抜け出し、少人数で追走ペースを上げる。
しばらく走ると最後尾車が俺たちの後ろへ。どうやらさっきまで一緒にゴールを目指していた連中は皆降ろされたようだ。
ラスト1周に入り完走は確実、旧ゴールの直線を走っていると先頭を走る車両がゴールの直線へ。
ここで佐野と一緒に立ち止まり先頭で頑張っている松村の動向を確認する。
松村は最後の4人に残るものの4位。あと一人食うことができれば・・・
今日まったく「レース」をしていない俺が言うのもなんだが・・・
最終完走でレースを終える。
Jツアーのポイントなどを考えれば完走したところで何の意味もない。ただこれからのレース、熊野やTOJ、そして全日本選手権を考えると諦めるのではなく、ゴールまでは走りきりたかった。
もっときついレースで「諦めグセ」をつけたくなかったし、何より今シーズンで引退することを決めている以上、すべてのレースが「これで最後」なのだ。中途半端では終えたくない。
走る前、少し甘かったがこのレースで「取らぬ狸の皮算用」を行ってJツアーのポイントを計算していた。
それからするとまったくの計算外。
たとえどんな状況だろうと「まだまだ甘いな」と反省点を自分に問いかけ、次のレースに向けていきたいと家路へと向かった。
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