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No.073 ツール・ド・台湾 第3ステージ

taiwan3rd01.JPGのサムネール画像今日の第3ステージは登りゴールの厳しいステージ。
一度ゴールラインを通過してからアップダウンがあるらしいが、それがかなり難しいとの情報。
そしてそれ以前に強風の海岸沿いは、横風区間が長くて集団が分裂する可能まだポジションがしっくりきていないので無理せずに走りたいが、危険な状況では動けるようにスタンバイはしておくつもりだ。

序盤から風の影響を利用するようにアタックが連続する。横風区間では少しでも後ろにいると路肩に追いやられて危険だ。
走りながら休める場所、そして危険ではない場所を探しながら走っていく。
20キロ地点のポイント賞までナーバスな動きが続きそうだったが、街中でオフィシャルの車が若干詰まったのを利用してアタック。それまでのアタックは皆が警戒して反応していたので、かなりスピードが早い状態が続いていた。そういうときスピードが落ちる瞬間、一番チャンスでもあり警戒しなければならない。そのタイミングでアタックしたのだ。
そのまま10秒以上離れ、コーナーの連続がブラインドとなって後続を引き離す。
韓国の選手と香港の選手が合流して3人で逃げを開始。
だが韓国の選手がかなり強力で、香港のラム・カイチュンとローテーションの順序で駆け引きのようになってしまい、そのまま離されてしまった。
そのままポイントを3位通過しラムと先頭交代。韓国の選手からは40秒ほど、集団からは1分半のタイム差。まだ100キロほどを残しているので逃げが決まることはないだろう。どこかで集団は必ず合流してくるはず。
横風区間は強烈で、時速40キロを出すのが精一杯。そのうち集団は徐々に背後に近づいてくる。理想を言えば横風でバラけたグループに合流できればいいのだが。

35キロあたりで集団に飲み込まれるが、集団はペースアップしているために集団はほぼ棒状。なんとか前のほうに喰らいつく。
横風区間が続くため集団はかなり分断される可能性が高まるが、50キロ手前で一度遮蔽物が増え始め、風に対して楽なラインを通るようになり攻撃は終了。そのタイミングで次の逃げが決定的になり集団はどこが主導権を握るのかお見合いが始まる。

taiwan3rd02.JPG80キロ地点を過ぎてどこかが主導権を握らないと逃げ切る可能性が高まる。
リーダーチームか、それとも総合上位を狙うチームか、はたまた区間を手にしたいチームなのか…
しばらくして愛三工業が追走開始。前との差は3分強。残り距離からすればどうだろう?なんとも言えないが、このポイントが多分最終判断のラストチャンスだろうということは想像がつく。
先頭グループも消耗しているか駆け引きしているのかタイムギャップは急激に詰まっていく。
ここから一度ゴール地点を通過するが、そこまでは延々と向かい風。
前も消耗するが集団も追走に関しては消耗する。その間に自分自身が回復できれば良いと考える。
ゴール前、ここは登り区間のため集団内でも位置取りが激しくなる。大きな幹線道路から右折する際にかなり道が絞られているし、ゴール前は石畳で両脇はアスファルト。集団の前であればこのアスファルト区間を通ることができる。
久しぶりにこの血走った位置取りを楽しむ。
ヨーロッパで走っていた頃はこういう激しい接近戦を多く経験した。
そこは喧嘩、そこは戦場。譲れば自分がやられる。相手をやらなければ自分がやられる…いつもそういう緊張で戦ってきた。
今回はそれほどの激しさはない。だが、油断していると接触に巻き込まれることもあるし危険だ。常に真剣勝負を心がける。

コーナー長後から徐々に登り始め、コーナー内側は多分12%以上あるだろう。
そこそこいい位置で登り始めるもゴール前に前を走る選手が失速し進路を塞がれる。だがそれほど登りが長いとは聞いていないので無理をせずにクリアー。
登りきったところで集団は一度分断。多分俺がほぼ最後尾で50人ほどだろうか。そして後ろには40人ほどが分断されている。
そして一度大きなコーナーを下っていき、ターンすると再び大きな登り、こっちのほうがゴール前の登りよりもはるかに厳しい。
コースプロフィール上ではそれほどのぼりがきつくないように書かれていたが、実際ははるかに厳しく長い。
何人かの選手が昨年ゴール前を頑張りすぎて「(脚が)売り切れた」と言っていたが、ようやく意味がわかった。
俺自身何人かの選手と集団から離れてしまう。
さすがに序盤頑張ったツケがきたか…後ろを振り返るとチームメートを含む10人ぐらいが近づいてくる。そのままそこへ合流しゴールを目指す。
前の選手たちも徐々に合流し25人ぐらいに膨れ上がる。
ゴールまでもう少しと言うところで台湾チームの選手たちがアタックを開始。台湾人での総合成績争いがまだ生きている。外人たちは完全に無視するが台湾人、そして俺を含めての台湾チームは無視できない。
去年まで同じチームだった廣瀬学も台湾のキナンチームで走っている。彼も積極的に走っている。
キナンはなんとしてもここで集団から抜け出したいようだ。
ゴールではキナンの選手が集団から抜け出しに成功、俺は10秒ほど遅れて廣瀬と一緒にゴールする。

先頭も最後はバラバラにゴールするも、20人ほどが僅差の戦い。
俺たちは先頭から3分半ほど遅れてのゴール。
ここで総合争いは完全に終了。ここまでの平坦区間を見ていても完全にゴールスプリント狙いにどこのチームも照準を合わせているので、このタイム差は最後まで埋まらないと見て間違いないだろう。
あとは残るステージでチャンスを見つけ出す、もしくは作り出して逃げを生むか、ゴールでうまく立ち回ってひとつでもいい成績を作り出していくか…

写真
上:今回の台湾遠征には台湾のカメラマンであるグレッグ(写真)が協力してくれたおかげで実現した。
下:ゴール前の登り。真ん中は石畳のため両端しかスピードが維持できない。そのため入り口から位置取りが激しい。

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