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No.069 ジョラジャ・マレーシア第6ステージ

マレーシアでのロードレースといえばゲンティン、そう言えるほどに有名になったゲンティンハイランド。今日のステージはゲンティンでのゴールだ。
ランカウィのようにゲンティンハイランド頂上までは行かないものの、中腹まででも十分厳しいコースだ。
ジョラジャ・マレーシアはここまでは平坦基調で、この第7ステージで総合をすべて決めてしまうステージとなるはずだった。
しかし第1ステージで集団が取り残され、リーダーチームが第5ステージで崩壊。そのため総合に関しては上位何人かを残してある程度フィックスされた状態でのスタートとなった。

中盤から後半にかけて山岳賞の設定された峠があり、下って少しの間をおいてゲンティンへの長い登りが始まる。
スタートからアタック開始。
今日は登りに自信がある松村、辻を温存するということで俺と向川が前半の動きに対応するということでレースは進む。
10人ほど集団から先行する動きになったとき、向川と俺の二人が入るが集団はすぐに後ろに迫っている。俺は追いつかれる前にそのままカウンターで飛び出しリードする。その動きにすぐさま6人ほどが反応する。
俺が先頭に出ているときは時速50キロ以上。だがほかの選手のときにはスピードがダウンし、徐々に集団が近づき5キロほどで吸収された。逃げるときにはこの最初の5キロほどというのは重要で、決して諦めてはいけないしスピードを落としてもいけない。集団との我慢比べだ。
追いつかれた直後、集団からデンマークのニールセンが満を持してアタック。この動きにはジャパンの福田やイランの選手が追従しスピードが上がりきった集団では大半が休戦希望モード。そのまま一気に1分の差が開く。
俺としては型にはまったようなこのカウンターアタックに向川はじめほかのメンバーが反応できなかったことに苛立つ。
動けない、動きにくい展開の中で反応できないなら責めることはない。だが今回はそれこそ教科書どおり、俺が逃げることで他のメンバーは休めて対応できる位置を確保できたはずだ。特に涌本と辻兄を昨日の時点で失い、たったの4人で走っている。完全にスプリント、もしくは登りの入り口まで温存して成績を計算できる選手がいるなら仕方がない。
だがこのメンバーならタイミングが合えば先行するほうがいいだろう。

リーダーであるトントン・スザントのLe Tuaが集団をコントロール。
彼の直接の敵はミズバニとアスカリのイラン勢。他は彼の登坂力を考えれば十分な差を保持している。どのタイミングでコントロールかと考えれば、よほどの差でない限りゲンティン手前で十分だろう。タイム差を広げすぎないようにすればいいだけだ。
そして個人総合もだがチーム総合1位をこのステージで決めたいイランの動きも目が離せない。

タイム差を5分以内で留めながら集団は動く。
チームメートの動きは疲労で鈍い。俺は今日のステージ自体は明日へのつなぎとしか考えていないため、チームメートへボトル運びを行う。
そして第4カテゴリーの山岳へと向かうアップダウンへ突入する。
集団のペースは上がり、登れない選手たちが一気に集団後方へと脱落していく。
俺はこういう小さな峠は嫌いじゃない。前に分裂した30人ほどで山岳賞への登りへ向かうも集団に吸収。
チームカーから登りのインフォメーションが入る。およそ5キロほど登る。勾配はそれほどきつくはないようだが、最後のゲンティンへ向けて集団から抜け出したい選手がペースを上げ、それをほかの選手が反応。そのためペースが落ちないまま頂上を目指す。
あと1.5キロぐらいで少しペースを落とし、集団復帰できる範囲内のグループで登りきる。
下りきればゲンティンへの登りが始まるが、それまでに最後の補給をしておきたい。そうなると下りではチームカーへ下がれるところまで位置を下げなければならない。
頂上からチームカーを呼ぶが最初の登りで千切れた向川に伴走しているのでなかなか集団に辿り着かない。
そしてイランも集団のペースを上げるような動きを開始し、下り基調ということもあって70キロぐらいで集団は一列。ボトルをもらって前に辿り着けるのか…

同じ考えの飯島がボトルをもらいに集団後方へ。
ジャパンは先行する選手にチームカーが随行しているのでマトリックスからボトル補給。二人でボトルをもらい、協力して集団前方へ。飯島と二人ならどんなに集団のペースが速くても心配することはないだろう。
ゴールまであと20キロを切って集団に戻り、ボトルをチームメートに届ける。
ゲンティンへの登りが始まり、集団は一時小休止。そしてそこから勾配がつき始めたところでイランが登りを感じさせないペースで引き始める。
総合争い、区間争いのメンバーが集団前方を固め始めたところ、ラスト10キロほどで集団落車発生。
ちょうど俺のまん前。辻や松村も巻き込まれたか。俺は落車を免れたのでそのまま走る。
先行するのは30人弱か、そして俺たちは20人ほどでの集団。そしてその後ろに落車に巻き込まれた選手が続く。
残る距離が減るほどに勾配がどんどんときつくなり始める。
気がつくとグループはどんどんバラバラに。俺も2人ほどで登っていく。
インナー41Tで今回の大会に挑んだため、23Tのローギヤでの走行が続く。そして回転も徐々に落ち始め蛇行はしないものの時速15キロ以下に。
ここからは無理をしないペースに切り替えて頂上を目指す。
賞金圏内もしくは総合での上位がかかっているなら確実に全力でゴールを目指す必要がある。
しかしこのステージは俺には上記の二つはない。ただ翌日の最終ステージだけのことを考えればいい。
残り6キロ。スピードを考えるとここから30分ほどかかる計算。
だいたい先頭のスピードから考えると15分遅れぐらいになるだろうか。
タイムアウトは30分でも大丈夫だろうと判断。だが違うことで余裕を感じられない。
徐々に日差しが強く体がオーバーヒート気味。風を切って走れるスピードじゃないから余計だ。
ボトルは空っぽ。水滴すらない。オーバーヒートにならないようなスピードを維持しながらイーブンペースを心がける。
そうしているうちにラスト4キロほどを切ってから松村が後ろから抜いていく。そしてラスト2キロほどでナショナルチームの飯島、スキルシマノの廣瀬らのグループが合流。このあたりから勾配は緩くなり、比較的楽にドラフティングが可能となる。そのまま彼らと共にゴールを目指す。

倒れこむほどの強度ではなかったが、もしゲンティンハイランド頂上までだったら勾配もはるかにきついし、多分イージーで走ることすらできなかっただろう。
このステージ、向川が大きく遅れを取りタイムアウト。
明日の平坦クリテリウムでは期待できる戦力だったので非常に残念だ。

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