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No.068 ジョラジャ・マレーシア第5ステージ

IMG_0171-1.JPGのサムネール画像前日の悪夢からあけた第5ステージ、まだ体がしっくりきていない。
スタート前に何人かの選手と談笑をしていると、昨日の午後は体調を壊してずっと下痢だったという選手もいたり、思いのほか体調を壊している選手が多いようだ。
気分的にはかなり元に戻っているがすっきりとしない気分、だが他の選手たちと条件はそれほど変わらない。俺だけがきついんじゃない・・・

今日のレースは午後からのスタート。
1時間でも多く静養したかった俺には都合がいい。これはきっと何か見えない力が俺に味方してくれているんだ、そうポジティブに考えることにする。
そして午後からのレース、序盤からいきなりのアタック合戦。
俺は最初こそ様子を見ながら、集団中盤でチームメートの動きを細かくチェック。
12月・1月の海外遠征での俺のミッションは若手の教育。無線を最大限利用し「このタイミングで動くんだ」というように指示を出す。俺の調子が読めないだけに、いつも以上に指示を出すよう心がける。
そして少し動きが止まりかけた数人の逃げ、指示を出すが反応がない。
俺はこのままだとヤバイと判断、自ら動く。
およそ40番手あたりから加速し、そのまま10秒は離れている数人の逃げに合流。スピードには乗っている。いけるか?昨日大失態を演じたのだから、どこかで挽回したい。
しばらくすると中間スプリントでポイントを稼ぎたいLe Tuaが列車を作って追走され合流。
その後に中間スプリントを通過し、何度か攻撃して撃ち合いを演じたあとに逃げが決まる。
ここには辻兄、そして後追いで辻弟も入り込む。7~8人の逃げにマトリックスから2人。状況としては良い。
しかし運の悪いことに辻兄がパンクで後退。せめてもう15分遅ければ、ニュートラルカーが間に入るだけのタイム差を確保していれば、パンクしても先頭グループだったのに。後は辻弟に託すしかない。

ちょうどコースはゆるいコーナーの連続でブラインド区間が続く。
その地形を利用して徐々に差は広がり始める。同じ距離でも見えるのと見えないのとでは体感的に疲労度は違う。初日に見えない敵を追走し、詰められないことを非常にネガティブに捉えていたチームメートだが、ここではLe Tuaの連中が同じことで苦しんでいる。
自分たちだけじゃないということが今理解でき、チームメートたちは安堵しているに違いない。
しばらくするとほかのマレーシアのチームが彼らを援護する。
Le Tuaで走るトントン・スザントがリーダーとなったことで、スプリントのために使えるユニットがひとつ少なくなる。トントンとマナンを差し引けば4人でコントロールしなければならない。
仮に追走で差を縮めたとしてもそのあとの「さばく」ためのコントロールは難しいはずだ。
気がつくと徐々に追走に加担する選手が増え始め、きっちりと1分ほどのところで差をキープしている。

辻は中間スプリント1位通過、山岳賞も2位通過と存在をアピール。このままいければチャンスはあるだろうが、集団の動きを見ていると可能性は高くはない。
俺はチームメートと連携し追いついたときのことを考える。
俺自身昨日のダメージであまり体のキレはよくないと感じていた。そのため向川にスプリントに絡むよう指示し、俺は向川の前で露払いに徹するようにする。
今まで海外でスプリンターのためにアシストしてきた動きを披露するときがきた。
どういう動きを俺が欲して、どう動けばスプリンターを絶妙に発射できるのか。それを俺を通じて向川らが学んでくれればいいし、ここまで自分たちが動いてきた形と俺の違いが後で感じてもらえれば次からの課題となって成長してくれることだろう。

山岳賞のかかった峠の下り、香港の選手が先頭グループから千切れて戻ってくる。
集団は下りを安全に下るためスピードダウン。少し前と差が開く。、だがこの動きで関係車両が先頭グループと集団の間に入るため、関係車両が前の位置を明確にしてしまう。このことが見えないながらもどのあたりに先頭グループがいるのか把握できてしまう。これが仇となってしまい、集団は活性化していく。
ラスト10キロを切ってルクセンブルグのチームもスプリンターのために追走の主導権を握る。俺は残り距離を測りながらポジションを微妙に変えていく。そして先頭グループでは規則正しかった先頭交代もアタックの掛け合いに変わり、その都度スピードは落ちていく。
そしてラスト7キロを切って逃げグループを吸収し最後のスプリントへ向けて集団はナーバスになり始める。

ラスト3キロ。激しい接触音が集団を包む。
俺は即座に後ろを確認。向川がいる。他の状況はどうでもいい。これだけ分かれればいい。
ラスト1キロ手前で再び少し後方で落車があったようだ。これも確認する。
そしてラスト1キロを切り、最終コーナーへ。
ここ少し登って左へ直角コーナー。
コーナー手前で再び激しい落車。これはさすがに確認はしなかった、というかできない。
もう待ちようもないし、俺自身残り距離からして好位置を確保している。
最終コーナーの曲がりを利用してチラッと後ろを見るが、向川は後ろにいない。落車の影響??
俺はそのままマナンの後ろを確保しスプリントへ。
ラスト300メートル。マナンが前の選手と引っかかり一瞬俺たちも動きが鈍る。
そのため一瞬のタイミングが遅れ「かかり」が悪い。おまけに体調も万全じゃない。
中途半端なスピードのまま、6位という結果でゴール。
向川はやはり最後で離れたのか18位という結果だった。

IMG_0174-1.JPGやはりと言うか今のコンディションじゃ勝てる状態じゃなかった。
ポジションで言えば絶好、マナンの背後という好位置。そして彼が前の選手と少し接触したことで1秒ほどハンディを食らっているはず。なのに並ぶどころかスプリントを開始した途端に離れてしまった。まったく話になっていない。

度重なる落車でチームメートがに気になる。
大丈夫か???
そしてゴールへと辿り着く選手を見ていると、マトリックスの選手がほとんどいない。
辻兄が倒れこんで動けないらしく、松村も落車に巻き込まれたようだ。

チームカーの止まっているところへ急ぐ。しばらくするとウェアーがボロボロになっている辻兄や松村を発見。辻は見るからにダメージが大きく、とてもじゃないが明日は無理だろうと察した。無傷なのは俺と辻弟、向川のみか…涌本はパンクし集団に戻れず、そのままオーバータイムとなってしまう。

レース後、明日のゴールとなるゲンティンのホテルへと移動。
遠くからそびえ立つゲンティンを見たとき、ため息が出る。
明日からどうなるのか…



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