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No.054 '08ツアー・オブ・タイランド 第5ステージ

第5ステージ。残るステージはあと2つ。

チームとしてこのツアー、何を目的に戦うのか明確にしなければならない。

その中でわかりやすいものが俺のポイント賞、そして俺の区間賞だ。

その明確な目的に対してチームメートはどういうアクションを行えるのか。そこをきっちりと見ていきたいと思う。



スタートから昨日のステージで消耗しているはずの涌本がアタック、これにヴェトナムのポイント賞の選手、そしてナショナルチームの内間、タイの選手が合流、4人で逃げる。

ポイント賞を考えるとあまり好ましくない。涌本は引かなくてもいい。

だが今日のステージ、中間地点にかなりの急坂の峠があるため、先行しておくのも悪いことではない。それにそこまでいけば中間ポイント分をリードしても、最後に消耗してくれれば・・・そういう思惑もある。ただ中間ポイント手前では先頭交代をせずにポイントを壊してもらわなければ・・・それは涌本に課せられたミッションだろう。

集団はあまり速くはないが、さすがに先頭グループもあまり速くはない。2分ほどの差で推移している。

中間スプリントで涌本は内間、そしてヴェトナムの選手のポイントを奪うことが出来なかった・・・このポイント差が実はあとで俺にとって大きな意味を持つことになる。

結果、内間が1位通過。涌本はここまでみんなのお膳立てで終わり4位通過。



しばらくすると目の前に壁のような峠が目に入る。

最初はまさかあそこじゃないだろうと思いつつも、ルートを繋げていくと「ウソでしょ?」と思わず口に出る。そんな感じの峠だ。

徐々に勾配を増しはじめ、41T×25Tのギヤで進んでいく。特にアタックと言うわけではないが、徐々にペースが上がり始めて俺は頂上まであと400メートルほどのところでヴェトナムのポイント賞選手やスロバキアの選手らと集団から少し離れてクリアー。下り始めて2キロほどで集団に合流する。

その後から集団ではアタックが開始。どうやらギリギリのタイミングで集団に戻ってこられたようだ。

残り40キロほどはほとんど下り基調。ここで3人が逃げる。

日置が何とかもう少しというところまで追い込むも届かず。



残り25キロ。

集団はフィリピンやイランが集団をまとめる程度のスピードで引く。

総合1位のイラン、そしてチーム総合1位のフィリピンは利害が一致しているので共同戦線か。追いつこうと言う気配はない。

このままでは追いつかない。俺は日置、そして松村に追走を指示する。



すばらしいスピードでまず3人と集団の間を走っていた数人をキャッチ。

ここで1分40秒あった差が2人で30秒縮まる。あと何人かいれば縮まる。利害の一致する日本ナショナルチームやスロヴァキアに話をするが協力を得られない。仕方なくそのまま二人で引くも力尽きてしまい、逃げる3人を吸収することはなかった。

ここはポイント賞にリーチをかける選手、区間賞を狙える選手はアピールすべく主導権を握ってくるのが当然だろう。俺は区間賞を取ったし、もう一度狙っている。そしてポイント賞も視野に入れている。だからこそ3人使えるうちの2人を差し出したのだが・・・



ラスト2キロあたりから少しでもタイムギャップを作って総合でジャンプしたい選手、そしてフィリピンや日本ナショナルチームが攻撃を開始。それを辻がさばいて俺のスプリントに貢献。

スプリントでは辻が先行しスロヴァキアのコバックに仕掛けさせる。だが思いのほかコバックのスプリントは後半に伸びて差せなかった。そのため5位。



このステージ、勝てなかったし集団の頭も取れなかった。

反省点がなかったわけではないが、今回はチームメートの判断力・組織力というものがここまでのステージと比べて格段と向上したと自負している。



ヨーロッパ的なレースの組み立て方、そして「チームとして成績を残す」と言うことがどういうことか、今回の大会で徐々に選手に浸透してきている。特に辻や松村はシーズン中に「走れる」と言うのはわかっていたが、勝つためにチームとして「使える」か?と問われれば、決して心底良い返事を発するには至っていなかった。だが今は違う。もし今後俺がスプリントをしにいく、もしくは俺がチームのまとめ役として出場するレースなら、間違いなくこの2人は右腕として用意するだろう。

そしてもちろん100%献身的な走りを躊躇なく行える日置、最年少ながら手を抜かず、常に向上心を持って挑む涌本もだ。

あとは最終ステージ、1週間でかなり成長したチームメートを信用してもう一度「勝ち」にいきたい。

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