masahikomifune.com:

ホーム > レースレポート > No.053 '08ツアー・オブ・タイランド 第4ステージ

No.053 '08ツアー・オブ・タイランド 第4ステージ

第4ステージは今大会最大とも言える難コースで、1,000mの峠越えが待ち構える。
今回のタイランド、レースの距離もプロフィールもスタートしてみると大きく違う箇所を発見する。
言える事は常に前で展開するように心がけるしかない。

2008racereport-no.005-01.jpgのサムネール画像
俺としてはこのステージにはあまりチャンスを感じないし、とにかく後半のステージで勝利を狙う走りをするために、このステージはとにかく「つなぎ」ということで進めたい。
まずは若手でチャンスを感じる選手にはチャレンジしてもらいたい。
チームとしては辻に狙えるようなら山岳賞を、そして松村や日置には行けるところまでは前で展開してもらいたいが、初日のような失敗をしないようにすることが最重要というところだろうか。

スタートから撃ち合いが続くものの、集団は登りを前に少し小休止。
この小休止の間に辻がなんでもないところで落車。すぐに集団に復帰、大事には至らなかったようだ。
そしてアップダウンが始まると攻撃が本格化。
急勾配の登りをあとに再びマトリックス全員が後続に置いていかれる。
序盤の撃ち合いには俺がさばいていったが、若い選手がこれから訪れる登りに温存してしまったのか、集団が分裂した動きを見送ってしまった。
このときまでは比較的問うような口調で作戦を伝達してきたが、この危険な状況での敏速な対応が行えなかったメンバーに対して、俺は久しぶりに厳しい口調ですぐに追走するように指示。
リーダーを同じタイの選手に譲ったものの、実質的リーダーであるトミー、そして昨日からすばらしい動きを見せているヴェトナムの選手をマークするように伝えたものの、両選手が動きを見せた際にまったくアクションを見せなかった。それも両者ともに単独でのアクション。見逃しようがないはずだ。
前を向いて走っている以上、その動きを静観してしまったということはアクションを起こさなかった、チームとしての自分の責任を放棄したと取られても仕方がない。だから俺は厳しい口調で追走の命令をした。生半可な態度で走ればどうなるか、それは初日の何も得られなかった無駄な追走を繰り返すことになる。

前との差は30秒。差は大きくないが前は逃げる気満々。そうそう詰まる距離ではない。そして登りが前に見える。想像以上に険しい。平地区間を走っていてアスファルトの路面が見えるほど。
俺以外全員で追走し差が詰まらないまま登りの入り口に突入し俺以外は脱落。そして登りの頂上で後ろから来る松村を含むグループを待ち走り続ける。およそ10人ほど。
このあと前のグループから脱落してきた選手らを含み、20人ほど。
このメンバーでとりあえずゴールを目指す。
本格的に標高1,000m地点を目指して登り始める。まだまだ先は長いからか、前のグループもあまりペースが上がっていないらしく、2分半ほどの差で走っているらしい。
俺たちのいるグループは勝負を行わないグルッペット集団になったにもかかわらず、あまりの急勾配で体感的には勝負をしているかのような感覚。山岳賞の設定されていたところなどは最大で20%ほど。とにかく苦しい。そして暑い。
そして何より下りでは砂利区間もあり、すべてにおいて厳しい。そのことだけが記憶の奥に刻まれていく。

頂上から少し経過し、2回目のピークも超える。すると長い長いダウンヒル。
下りきってからも30キロほどあるものの、みんなで先頭交代しゴールへ。
先頭からは20分以上遅れてのゴール。
途中で先頭グループがゴールしたのをチームカーから聞いていたのでタイムアウトを計算していたので心配はしていなかった。
ステージレースでは翌日もスタートするには制限時間内にゴールしなければならない。
ヨーロッパ時代はそれこそボロ雑巾のようになるまで仕事をしていた。
どこまで行けば翌日スタートが出来るか?と走りながら計算したものだ。
そして先頭グループで異常にペースがあがり、こちらも帳尻を合わせるべく追い込んで翌日には脚がスカンスカンになる「計算外」も多く体験した。
そういった経験のおかげで、だいたいこんなものかな?ってところではゴールできるようになってきている。

実際超ハードなコースだったが、体は思ったよりもダメージを受けていないように感じる。
6時間半もの走行時間。しかし長かった・・・

日置、辻、涌本が遅れてゴール。
日置、涌本も辻同様に落車したようで傷が生々しい。
特に日置は見るからに傷が深そうで明日からが心配だ。

写真説明:
山岳賞への急勾配。登っても登って終わらない。そしてあまりのきつさにやめたくなる
Takumichi MATSUMURA

Feed

Powered by

Search