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No.001 '07 De Ronde van Vlaanderen
2007年、今年のフランドル最大の焦点はボーネンが3連覇を達成するのか否か、ということだった。レースは後半ミュールのあるヘラールスベルゲンの街まではほぼ完璧にクイックステップがコントロールしていた、ように見えた。
そこでボーネンが毎年、そして前哨戦で見せたような、「トルネード・トム」の異名をとる破壊力のあるアタックを成功させていれば・・・
しかし現実はミュールの坂で強烈な破壊力で集団を木っ端微塵にしたのは、直前のデパンヌ3日間で総合優勝し、好調をアピールしていたバッラン(ランプレ)だった。
ちなみにこのデパンヌ3日間、ボーネンをはじめ優勝候補は、まずほとんど本気で走らないし、最終日のタイムトライアルも出走しないことが多い。私がデパンヌ3日間に出場したときもミュセウやチュミル、バルトリなど、ほとんどが調整と割り切っていた。さすがにハードな3日間のあと、中2日間でフランドルはきついのだろうと感じたものだ。ちなみに私がデパンヌ3日間を走ってフランドルに出場した年、フランドルでは完全にガス欠、体調を崩した挙句にレース序盤の集団落車の餌食になり、すぐにサポートカーの隊列を利用して復帰しようと試みるが、ここでデパンヌ3日間で体調を崩したのが仇となりレース早々にリタイヤ。レース終了後監督に怒られたのを今でも鮮明に覚えている。
バッランはそのデパンヌ3日間で総合優勝し、そしてフランドルでも優勝。知る限り99年のファンペーテヘム(当時ファルムフリッツ、現クイックステップ)が思い浮かぶぐらいだ。
「デパンヌ3日間に優勝するとフランドルには勝てない」と言うジンクスを破り、どうだい!見たか!と言うようなコメントを発していたファンペーテヘムが懐かしい。
レースも中盤、モーレンベルグの登りが始まったところで私は最初の違和感をボーネン、そしてクイックステップに感じた。
それはミュセウや、過去2回の優勝を見ると、このモーレンベルグは必ずほぼ先頭でクリアーしている。それはきっとミュセウから学んだ後半への走り方だったはずだ。
それは危険回避でもあるが、どの程度この荒れた石畳、集団後方では立ち止まる選手のいるモーレンベルグで、どの位置でクリアーするかはひとつの調子のバロメーターだと思っている。ここでボーネンは最初の入り口まで、他のチームに比べてあまり組織だって守られていなかった。それはそれだけ脚を使ってしまう可能性がある。
後半にかけて集団では落車が非常に多かった。
私の個人的な推測だが、今年はクイックステップが 完全にコントロール仕切れていなかった。コントロールするチームが存在しないため、集団内では先頭には出たくない、集団の中でいい位置を確保したい選手た ちが集団内で前方へ移動。しかしペース自体は速くないので集団は大きく膨らんだまま。それが落車の原因のひとつにもなっていたように思う。
ボーネンは 現時点で北のクラッシックレースを見てみると最も強い選手だろう。だが急成長したなかで、まだまだ集団内でのミュセウのようなカリスマ性が薄いように感じ られる。もう少し経験を積む時間があっても、そしてもっとミュセウなどベテラン選手について走ったほうが良かったの知れない。
今回のように窮地に追い込まれたとき、どう対処するのかという経験値は現在のクイックステップは百戦錬磨とは感じられない。
ほとんどがボーネンと同世代。今年期待がかかったファンペーてヘムは、期待されたような走りや経験を生かすことなく、チームに貢献できたのか?と厳しい見方をしてしまう。
今回のフランドルの失敗でクイックステップは大きく成長しただろう。中堅どころの選手はこの経験でベテラン・司令塔への扉に手をかけたはず。あとはボーネンを含めてこの扉を開けられたのかは、来年フランドル3勝目のかかったボーネンのリベンジで見られるはずだと信じたい。
フランドルと言えば、このクワーレモントから攻撃が本格的に始まる。そういう意味では名物の坂のひとつだ。
北のクラッシックと言えばこの人ヨハン・ミュセウ。チュミルやバルトリなど多くのカンピオーネと呼ばれるライバルがいたが、ミュセウは別格"カンピオニッシモ"だった。フランドルは3回優勝している
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