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No.042 '07西日本チャレンジ〜シーズン開幕戦
2007年の国内シーズンが開幕した。
西日本チャレンジ。広島森林公園で行われるこのレースは、例年天候にあまり恵まれないレース。そのせいか俺のイメージはベルギーのヘットフォルク。今年は晴天だったが気温はあまり上がらず、厳しいレースには違いなかった。
国内チームがどんどん海外へと目を向け、今回もシマノや愛三などは不参加。多くの有力チームが参加することでレースのレベル、そして駆け引きも幅を持たし、経験も積んでいける。今回はチームミヤタ、ニッポなどとマトリックスぐらいしか実業団有力チームは参加していない。
今回7名の参加となったマトリックスは今回のレースでは本命視されていた。去年実業団ランキング3位ながらも実はJCFレース、そして実業団レースでの勝利はない。
俺が加入したことで「強い選手」たちが「勝てる選手」になるのか。もしくは俺が勝つことで「勝つことがわかる選手」になるのかは俺しだいというところか。俺としてもマトリックスでの初ロードレース、チームに対しても早く恩返ししたいところだ。
優 勝候補としてレースを行うことは相手が誰だろうと関係ない。ロジカルに、そしてアクティブにレースを動かさなければならない。その間合い、相手を読む洞察 力を養うには、相手が強すぎるよりは今回のようなレベルがちょうどいい。だがそれが「勝てる」ことには直結していない。経験を積み、クレバーにことをすす める能力が問われる。
スタート前、チームメートに簡単な作戦、あとどうやってレースを支配していくのか、などの基本的な部分を伝達。そのあと安原監督からの作戦を元に今日のレースをイメージしてスタートに立つ。あとは個々が聞いた意見、作戦をどうアレンジして走るのか。それを俺は見極めながら走るつもりだ。
スタートから今年トレックが立ち上げたマルコポーロジャパンチームが先頭でペースを作る形でレースが始まった。
主導権を握るチームがいないのでは?と思って挑んでいたので、これには正直驚いた。メンバー自体もそれほど悪くない。
1周目の登りで佐野がアタック。これにはミヤタの選手らが反応する。
真鍋(ニッポ)は逃げが出来そうなタイミングになると、うまく逃げをつぶそうとペースアップしてくれる。今回怖い選手はミヤタもだが、やはり真鍋は外せない。あと野口(マルコポーロ)だろうか。一緒に練習で走った限り、かなり走れているようだ。
3周目あたりになると動きは若干鈍く、俺は畳みかけるように進めていく。
4周目の登りで、日置がアタック。これで6人の逃げが出来あがるが、日置以外のチームメートが入っていない。ミヤタは柿沼に増田。俺は向川に登りきってから徐々にペースアップし追走することを指示する。集団の先頭には向川、森、、廣瀬、そして日大を卒業した元インカレチャンピオンの松村がいる。
俺が勝ちに行くとしても十分なアシストだ。
ラスト1周に突入したところで先頭グループとの差はおよそ20秒弱。集団は比較的伸びているし最後の登りに目を向けている。俺はあえて先頭に出たところでスピードアップ。くだりを利用して先頭グループに追いついた。
三船・向川・日置(マトリックス)
柿沼・増田(ミヤタ)
小嶋・小室(コムレイド)
細川(ニッポ)
松本(マルコポーロ)
白石(シマノドリンキング)
このメンバーで残り半周なら申し分ない。スプリント力のある選手はいない。逃がして怖い選手はいるが、ここからが俺の本領発揮だ。
ラスト1周で小室がアタック。走れているように見えた白石らが離れる。ここで頑張ってきた日置も離れる。
上りきったところで数秒差だったが、後ろから奇跡的に日置が合流し前に追いつく。
8人。俺が前に残ったことでスプリント勝負にはどこもしたくないはずだ。
柿沼は俺をぴたりとマーク。とにかく俺を前には行かせない様にしたいようだ。
だが柿沼が離れると言うことは、経験の少ない増田一人で4人と戦わなければならない。強いことと勝てることは違う。
向川(マトリックス)
増田(ミヤタ)
小嶋・小室(コムレイド)
細川(ニッポ)
数秒遅れで
三船・日置(マトリクス)
柿沼(ミヤタ)
勝てる選手が誰も乗っていない5人の逃げ。彼までの向川の調子、そして俺が後方にいることが逆に武器になる。
勝てる
俺は向川の勝利を信じる。そして次の瞬間、向川は先頭グループから逃げをうった。
彼曰く、下りで他のメンバーがきつそうだった、と。
最後の登りで向川は軽快なリズムで走り、そして追う増田は迷いのある走り。
コムレイドも複数送り込んだメリットは出せないまま、向川が単独で春のオープニングを制した。
2位に細川、3位に増田。4位に小室、5位小嶋で俺が6位。
マトリックスは日置が8位、12位に松村、15位に森と例年に比べてメンバーが薄いと言えど、いい走りをしてくれたことは間違いない。
向川は数秒離してゴールラインを迎えようとしたが、最後まで自分の勝利に確信なく、ゴールを超えるまで両手を離してのガッツポーズじゃなかった。
しかしこの勝利は確実に向川、そしてチームのメンバーに刻まれたに違いない。
2007年、俺は確実にチームが変貌したと思っているし、強豪チームに変身したと思ってもらえるようにしたいと思っている。
今欧州で流行の優勝した気でガッツポーズ!じゃない
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