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No.034 ツール・ド・インドネシア第4ステージ

’06ツール・ド・インドネシア

Stage 4 Purwokerto-Solo 245.1km

第4ステージはおよそ250キロもの長丁場。それはUCIのレギュレーションを本当にクリアーしているのかも不明だ。

俺 が欧州で走っていた頃、UCIレギュレーションではクラッシックレースは200キロで誤差が10%以内。ただしパリ〜ブリュッセルは除く(250キロで誤 差を含めて275キロ以内だった。ちなみにパリ〜ブリュッセルは2002年に287キロだったかで開催し、そのままUCIからペナルティ。翌年はカテゴ リーを下げられてしまった)ワールドカップレースは240キロか250キロだった。

なんでも聞いた話なので定かではないが、本来は2日に分けて行うレースを日程の都合で合算。そしてそれはインドネシア車連始まって以来の最長距離レースとして、なんだかやたらともてはやされていた。

さすがに距離が長いだけにスタートはおとなしく、と思いきや、意外とレースは動いていく。

今日のリーダーはコウデントソフからチーム内でジャージをスイッチした"オギ"ジャスムランだ。マルコポーロでの遠征時など、多くのレースで一緒に闘う仲間。俺よりも2つ年上だが俺よりはるかに気持ちが若い。そして同タイムで総合2位に福島兄。

ジャイアントらは最初の登りが終わるまではアタックご法度だ、と集団に話しかけていくが、インドネシアチームを中心に話は無視。そして昨日遅れてノーマークになっている福島弟がアタック。残り距離を考えると他のチームもさすがに躊躇。前を行くグループに届かないのでは?などいろいろな思惑が交差し、そのまま集団から抜け出した。

集団はジャイアント中心に引いている。

一つめの峠は1400mがピークで、勾配もある。ただ登りの入り口まで700mほどは登っているので気分的には楽だ。だがそれでも前でイラン人たちが攻撃を開始した時点で俺は集団から離れてしまう。

俺は昨日のステージ後、インナーを39Tに交換。23Tでリズムを作って登っていく。コウデントソフやアシストしていたジャイアントの選手と共に頂上を目指す。決して速すぎずのペースを作っていく。

下りは豪快だ。高速コーナーが主体だが時速70キロ以上で滑降していく。直線はほとんど90キロ。ジャワ島の景色が眼下に広がっているが、それは秒単位でパノラマが失われていく。そしてそれまで爽快感広がる空気が下界に向かうにつれて徐々に熱せられていく。

スプリント賞ライン手前で集団に復帰。スプリントを試みるが登りで消耗し追走で消耗したからかまったく伸びず、ポイントを加算することが出来なかった。

福島弟はまだ逃げているらしい。彼の様子を確認にいった三浦監督は無線で「あいつは全然疲れてないようだ。峠の頂上でアタックして勝ちに行くと言っている」と伝えてくる。さすがにその自信と体力には驚くばかりだ。ランカウィの逃げも伊達ではない。

2 つ目の峠に入っていく。昨日の峠と同じように急勾配の区間を登っては緩い登りの繰り返し。しかし登っても登っても勾配はきつくなるばかり。俺は体力的にも メンタル的にも完全にノックアウト。いつ楽になるのか分からないメビウスの輪の中を走るかのような気分で、ただひたすらペダルを止めないように走る。今は ペダルを踏むことに喜びはない。ただ踏まなくては、と言う義務感だけ。何も考えられない。峠の頂上の更に上にそびえ立つ峠に目をやりながら、ただただ1回 ずつペダルを踏みおろすだけだ。

一体どれだけの時間が経ったのか自分でも分からない。そのうちようやく頂上に辿りつく。しばらくはアップダウンをこなして下りだす。頂上付近で後続の2人を待って一緒に下る。インドネシアの選手が梅雨払いしてくれるおかげで比較的安全に下りきる。それでも荒れた路面を時速70キロ以上。信頼できるパイクでないと不可能なスピード域だ。

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下りきった町では交通規制が解除され、しばらくは一般車両と共に走る。後で聞くと先頭グループの方でもそんな感じだったらしい。比較的きっちりオルガナイズドされたレースだが、それでも時折急に「アジア」らしいところも窺い知れる。

3人で先頭交代しながらゴールの町にたどり着く。この日の区間賞はイギリス人の選手だったが、ゴール前での斜行が降格対象となり、2位の福島兄が繰上げで区間賞。2日続けて日本人が区間賞となった。

そして逃げ続けた福島弟が山岳賞、そしてスプリント賞リーダーが最初の登りで千切れてリタイヤしたことで俺がスプリント賞リーダーに。

それは完璧なレース展開。ただ俺個人的にはかなり消耗している。

いままでパリ〜ブリュッセルで250キロ以上のレースは経験している。しかし1400mの峠など越えない。それはUCIのレギュレーションでクリアーされていなかったからだ。

内臓の疲労はハンパではなく、インドネシアに来て美味しいと感じていた香辛料の香りが広がるレストランで食が進まない。

明日からは福島のリーダーのために仕事をしなければならない。とにかくできる精一杯のことをするしかない・・・

区間成績

1位 福島

2位 スプレージ 同タイム(斜行のため降格)

3位 福島弟 +7秒

9位 飯島 +3分4秒

12位 廣瀬 +7分16秒

46位 三船雅彦 +26分17秒

総合成績

1位 福島

2位 マッキャン +51秒

3位 ロイド +1分1秒

9位 飯島 +4分55秒

11位 廣瀬 +7分31秒

36位 福島弟 +30分9秒

38位 三船雅彦 +32分21秒

山岳賞

1位 福島

スプリント

1位 三船雅彦

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