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No.025 3daysサイクルロード熊野 第3ステージ

masahikomifune12006-09-08

熊野最終ステージ。今年は久しぶりに鯨の町太地町の周回コースだ。

アップダウンに富み、レースをコントロールすることが難しいコースだ。

チームのミーティングで真理のリーダージャージを守るのにどうするのか。津末は前日に体調不良で今日はレースを出走せず。5人のうち1人はリーダー。そうなると4人でコントロールしなければならない。

栗村監督からの作戦では、序盤からの逃げに入り込み、俺たち以外のチームも追走に引きずり出し、後半まで力を温存していこうというもの。総合もだが区間の可能性のある「危険人物」の方が追走の的になりやすい。俺は直感的に

「俺の仕事だな」

と思った。

スタートから思ったとおりレースは動く。一発逆転のある山本(シマノ)、マトリックスから三浦・佐野、愛三からは新保など、後半に集団をハードに動かすための駒は揃った。

総 合上位はあまりにも僅差。このまま逃げることでボーナスタイムや逃げ切ってしまえばゴールでのボーナスタイムも取れなくできる。それは真理にとっても有利 なことだ。ただ、一抹の不安もある。他のチームよりもリーダーを守ると言う点では労力は多い。その中で逃げグループにいることはいいのか?少し不安を持ち ながら先行グループでリードしていく。

山本と真理の差は2分ほど。このまま逃げ切ればいいが、最大2分ほどで進ませ、最後に集団で アタック合戦にさせて俺たちが逃げ切るのが一番得策だろう。そうすればすべてのボーナスタイムは奪い取れ、真理はただライバルと共に同じグループでゴール するだけでいい。そのためライバルは意地でも秒単位を稼ごうと粗い動きになる。緻密な作戦じゃなければないほど、チェックは入れやすい。着いていくだけ だ。

そして俺自身の区間賞、2年連続のポイント賞の可能性もある。チームとしてはこの上ない好条件となる。ただ逃げながら2分以内に差を留め、最終回に1分以内にしなければならない。2分以上の差で淡々と進めば、後続から合流するのも勇気がいるし労力も大きい・・・

1回目のホットスポット。 俺は山本に競り勝つ。自分のポイント賞を考えればここでのポイントは無視できない。小さなことでも繰り返すことで大きなものとなる。集団の中で積極的に走 る必要はない。真理が後ろにいることでどんな動きでもできる。俺はその時々のシチュエーションで何でもできる一番有利な位置にいるのだから。

2回目のホットスポット前、後ろから飯島(BS)廣瀬(シマノ) らが合流。少し後続に負担をかける状況になる。後ろでは愛三、ニッポも追走に回っている。しかし1分ほどが詰まらない。俺はここで深追いせず、一度突き放 してもいいんじゃないか?と考えていた。それは追いつかないかも?の心理にしてしまい、有力選手でのアタック合戦を誘発してしまう。その方が真理自身もイ ンターバルはかかるがチームメートも温存できるしチェックは入れやすいはずだ。

しかし現実的に少し思った方向と風向きが変り始めていた・・・

後続からスプリント以外のシチュエーションで最も警戒しなければならない狩野(シマノ)が単独で追走している。そして間もなく合流。この時点でのバーチャルリーダーは狩野。シマノのペースアップにより集団は一気に突き放される。集団では何が起きているのか?

なぜ追わない?

間もなく栗村監督から無線が入る。

「集団に戻って追走してください」

この作戦を受け入れると言うことは、俺の区間賞、ポイント賞は自動的に消えてしまう。だが総合優勝を考えれば選択枠はそれしかない・・・

俺はラスト3周の登りで集団に戻った。

集団では盛や綾部(愛三)が引いていたがミヤタ勢は誰もいない。そのスピードも先頭グループの方がはるかに速い。その差は1分20秒ほど。俺は先頭に出て玉砕覚悟でトップスピードで引き始める。一気にタイム差は1分を切る。それまでのスピードから一気に上がったために誰も協力できない。俺はそのまま最大心拍数で次の登りを引き続け、そして力尽きていった。前との差はおよそ30秒弱。

真理はそこから単独で集団からアタック。他のライバル達は動けず単独で前に迫っていく。そこで俺は今日の「勝負」から離れ、ゴールを目指してクールダウン

ラスト1周の登りで力尽きた柿沼、増田、中村らと合流。そのままゴールラインを超えた。

真理はあと10秒ほどが我慢できず、結局集団に吸収されたようだ。狩野は逃げ切り総合優勝、区間は飯島が取った。

「もし」はないが、俺が下がらなければ区間賞に最も近い有利な位置だったことは確実だったろう。それを捨てて総合を守りにいき、しかし守れなかったのはショックが大きい。

去年と違い自分のためではなくチームメートのために走った3日間。自分の出来ることは精一杯やったつもりだが、達成感は薄かった。

チームメートは日々強くなっている。戦力としても十分だろう。だがまだ何か足りない。今後はその「何か」の部分を補っていかなければない。それが大きいものなのか小さいものかは選手の器によっても違うだろう。

総合2位に区間1勝。去年の成績とそれほど大きく変らないはずの熊野。だがレースを終えたときのチームの空気は重苦しいものだった。

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