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No.023 ツアー・オブ・ジャパン第4〜第6ステージ

チームとして最終的に何を狙うのか。ここまでの流れであれば真理のポイント賞に照準を定めるのが一番効果的だろう。

俺自身TOJでは総合を考えずに走るのだから楽と言えば楽だ。富士山のヒルクライムも伊豆ステージも東京に体力を温存して走ればいい。事実富士山のヒルクライムでは最大心拍数の90%未満で走行、タイムも53分ほどでフィニッシュ。ゴール後も疲労なく終える。

伊豆ステージではスタートと同時にスピードアップ。俺は少人数のグループで脚を温存。ゴールには辿り着けなかったが救済ルールで東京ステージも出走可能となる。

東京ステージ前夜、当初の予定では東京は俺の区間賞を狙う作戦で挑むはずだったが、真理のポイント賞に重点を置くことになった。

スタートからハイペースでの動きが続き、一瞬動きが止まったところで真理がアタック。数人の先行グループが形成されるがじきに吸収。そしてカウンターで俺が仕掛ける。この動きはベテラン選手が中心に入ることになるが、この動きもじきに吸収される。

この連続する動きがピークだなと思ったところで、再度真理たちがアタック。この逃げは上手く抜け出した。リーダーグループも総合を脅かす選手がいないから無理はしない。ただもし「ポイント賞も」と欲張るのなら途中から追走の動きは出るだろうが・・・

新城(チームバン)新保(愛三)長野(マトリックス)らの集団。利害は一致し集団との差を広げ始める。ある程度開いてしまえばしばらくは真理にとって有利だ。ゆとりをもって作戦を遂行できる。

俺は集団の中で状況を見ながら次の動きを見るようにする。

こ のまま逃げが決まったとしても、総合優勝は変らない。ただ総合の上位は僅差。集団が何もなくゴールすることはないだろう。それらをどうやって封じ込めるの か。俺だったら集団をあくまでテンポで動かし、後半の動きに合わせて攻撃を封じ込めるだろう。そのためには集団のペースを上げてはいけない。あくまで楽な ペースでのテンポだ。

この東京ステージは風が強く吹き付ける。去年俺が逃げたときも、風が強く後続に追走されてラスト1周に入るところで後ろに気配を感じた。(ペースを)合わされている事を悟って俺は集団に戻った。あの強烈な強風がなければ逃げ切ったかも知れない。それほどにきつい。

案の定先行グループは徐々にペースダウン。集団は徐々にその差を詰めていく。

総合上位はまだまだひっくり返る可能性を秘めており、狩野(シマノ)も逆転優勝の可能性がある。後半に入り、チームメートを利用して複数メンバーで逃げる方向での攻撃を開始される。しかしこのあたりは攻撃自体が単調で、格上の選手達を相手にするにはもうひとひねり欲しいところだ。

最後のスプリント賞を真理が獲得し、この時点でほぼ真理のポイント賞が決まった。

先頭グループから真理は吸収されることを見越して先行するグループから集団へと戻ってくる。泳がされている状態で逃げ続けるのはリスクが大きい。

監督から新たな指示が入る。

三船は単独でスプリント参加

真理を残る全員で援護

というものだった。

俺 自身は大阪ステージの時点から大阪と東京は狙うつもりで走ってきたからこの指示には100%納得はいかないが、状況からすると仕方がない。もし区間賞を狙 うことで真理のポイント賞を失うことがあるとすれば、それは重大なミスだ。俺はこの先の展開をある程度読みながら集団の中で自分が確保できるスペースを作 りながらゴールを目指す。

逃げるグループが吸収されようとしている。そのときに新たな逃げが形成された。

ベロフォシクスなどが含まれる逃げで、先行する新城だけが先行メンバーから耐え残っている。

もしだがこのまま逃げ切って新城の成績次第では真理のジャージは奪われる。俺は追走を考え行動に移そうとしたとき、同じく総合3位の狩野は、先行グループに逃げ切られることで4位以降に転落する。そのためシマノは全力で追走。だが相手が強力なこと、そして今まで何度もアタックを仕掛けたことで逆に消耗し、最悪の事態を招こうとしている。

逃げグループの状態からすると新城がポイントを重ねるのはほんの僅かな可能性。それに今のチームメートの状態からしても、この状況をひっくり返す可能性はない。あとは成り行きに任せること、そして自分のスプリントをすることだけを考える。

ベロフォシクス、そして総合でのジャンプに闘志を見せるミズロフ。お互いヨーロッパでは旧ソビエトの選手としてコミニュケーションしていたに違いない。俺自身ミズロフとはベルギー時 代に仲が良く、いつも家族のことなど雑談をしていた仲。レース中ではチームは違うがふとしたときに友情はでてくるもので、逃げているとき、同じような利害 関係になったときは、他の誰よりも友情がある分、励ましあい、そして少しぐらいなら苦しみを分け合おうとするものだ。実際イワノフ(Tモバイル)バックス テッド(リクイガス)や引退してしまったがラボバンクでタイムトライアルを得意としていたマッセル・ダウンなどとはそういう関係だった。

ちょうど先行グループを吸収する前、カザフスタンとユニバーサルカフェは共同で集団を引いていた。それは多分ユニバーサルカフェだけでは負担が大きいのでミズロフに強力を仰いだのだろう。推測だが総合ジャンプに加担すると言う条件で・・・

俺はてっきりカザフスタンの誰かにスプリントをさせるための動きだと推測し、リーダーチーム、カザフスタン、シマノ、コニカミノルタなどのチームの列車の後ろにいた。そのためアタックがあったときに狭いところでフタをされ、前の動きに反応できなかった。これは初歩的なミスだ。ここは強引にでも前にジャンプしておくべきで油断してしまっていた・・・

前のグループはハンパじゃない加速を続けている。

到底前に追いつかない状況で6位争いのスプリント。集団内では5番、10位でのゴールとなった。

終わってしまったことは仕方ないが、アタックの決まるところでの判断を誤ってしまったことに後悔は残る。

真理はポイント賞を手中に収めた。今大会は総合優勝はじめ区間でも海外勢の強さが目立っていただけに、真理のジャージ獲得はミヤタにとっても、そしてもちろん国内選手にとって誇れるものだ。

チームは完璧ではなかったが十分援護していたと思う。

いつもミヤタスバルレー シングを応援してくださるサポーターの方には、チームとして良い姿を見せることが出来たと思っているし、まだまだ国内での活動をメインに戦う状態にあって も頑張れたことをアピールできたことは、国内レースへの関心を多くのサイクルファン、そしてサイクルスポーツを応援しようとする環境に対しても良い結果 だったのではないだろうか。

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