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No.020 ツアー・オブ・ジャパン第1ステージ
今年のツアー・オブ・ジャパンは初日から波乱の幕開けだった。
2日前の金曜日、練習中に反対車線を原付オートバイが走行し、そのまま正面衝突。このレースに向けて準備してきたバイクは全損。レースを前にバイクがない状態に陥った。そのためレース会場でレースに使用する代車を用意することになった。
今年のチームの作戦は、(鈴木)真理を中心に展開すると言うことで決まっているため、俺は基本的にアシストだ。
真理自身もすべてのステージにチャンスがある、すべて狙うとミーティングで話していたし、チームも彼の意見を重視する方針なので俺もそれに対して忠実に従うのみだ。
第1 ステージはどのレースでもナーバス。02年にデンマークツアーを走ったときなどは、向かい風を30分ほど走った後に横風になるのだが、ニュートラルスター トから既に激しい位置取りが展開し、プロのレースを数多く走ってきたが、あれほどナーバスなレースはなかった。さすがにあれほどじゃないが、お互いの力が 分からず、まずは仕掛けるといった展開の中で、計り知れないものと戦うのは難しい。そして1周目の登りが終わったところでベロフォシクスともう一人コニカ ミノルタの選手がアタック。
俺がランドバウクレジットで走っていた頃からベロフォシクスの強さは知っているデパンヌ3日間でも優勝し、「大金星」と言われたが独走力、そして無難にスプリントや登りもこなしてしまうアタックして後続が離れたとき俺はとっさに反応。その差は10秒ほど。俺はフルスロットルで前を追走。集団は完全に離れている。うまくいった!俺は懸命に前へと差を詰めていきながらそう思った。しかし
あ と2秒ほどが詰まらない。コニカミノルタの選手が先頭を引いているときには一気に詰まったのだが、ベロフォシクスだと詰まらない。こちらも時速57キロほ どで走っているのだが徐々に離れていく。俺もとうとう力尽き集団に戻る。そのあと小さな動きはあるが、どこも追走する動きもなく中盤に差し掛かる。
ジャイアントが追走を断念したあとチームバンを中心に追走を開始。そのときミヤタも追走に協力。徐々にだが前のペースも落ち始め、差が詰まり始める。俺はみんなの風除けになりつつ、集団の前方にチームを位置させる。そして後半は俺も追走に加わる。
後半に入り集団内の動きはスプリントに向けた動きが強まり始める。
ラスト3周の登りで集団の前方にチームを位置させ、上りきったところでペースアップし集団を分断化しようという動きを試みるが、チームメートと意思の疎通がうまくいかずに失敗。そしてラスト2周で真理がアタックするがこれも失敗。俺はラスト1周でアタックする。
この動きで逃げたい選手を誘い出し、スプリンター達が集団内で動きを止めてくれれば、俺にとっては有利に働くと考えたからだ。引いているチームバンが集団前方でもたついてくれれば、そのまま逃げが決まる可能性がある。
しかし実際は他の選手はゴールまでチームバンの追走に従う形になっていた。俺としても単独で逃げられるほどの力はない。そのまま集団に戻り真理のアシストに専念しようとする。
ラストの登りを前に真理から無線で調子を聞かれる。この時点で真理の方はあまり調子が良くないようだ。俺も脚はかなり消耗しているので、スプリントになると厳しいものはある。だが試みるのみだ。
最終コーナーを前に向かい風の中で位置取り開始。真理を意識しつつ前を目指すが、最終コーナーを前に離れてしまった。他のメンバーもうまくまとまれなかったため、集団内で埋もれてしまう。
最終コーナーを20番目あたりとかなり後方で回り、最後はスプリントに参加できずにゴール、13位だった。
この動いた割りに何も残せなかった大阪ステージ、一体今後どのような展開になるのだろうか。レース後、あまり良いイメージを持つことなく明日のステージスタートとなる奈良へと移動した。
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