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No.008 フレッシュ・ワローニュ2001
過去7年間のプロ生活で、ベルギーで行われる主要レースはほぼすべてに出場した。残るはただひとつフレッシュ・ワローニュだけだ。
フレッシュ・ワローニュとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(以下LBL)の2レースはベルギーでもワローニュ地方で行われ「アルデンヌ・クラッシック」と呼ばれていて、そのきつさはヨーロッパのトッププロでも一目を置く存在だ。
元々フレッシュ・ワローニュには出場する予定はなかった。その次の日にオランダで行われる「フェーネンダール〜フェーネンダール」というセミクラッシックに出場する予定だった。
しかし急きょチームが出場しなくなり、そして俺自身週末のLBLに出場が決まっていたから、レースの2日前の晩に出場することになった。
スタート地点のシャルルロワからゴール地点のヒュイまで70キロほどを走り名物の「ヒュイの壁」へ。この「壁」を3回登ってゴールする。
ここは20%強の急坂。同じ勾配の20%でもフランダース地方のものとは違い、石畳ではないし、フランダース地方のものよりやや長い。
ヒュイの町中も結構登っていて(最大7%ほど)、町を抜けてから急に勾配がきつくなる。俺が走ったレースの中で一番難しい坂だった。
スタート直後からアタック開始。数人の逃げが決まり、優勝候補のレベリンの所属するリクィガス(イタリア)が先頭を引き、1回めのヒュイの壁へ。
初めて走るヒュイの壁。想像していたよりはるかに難しく、いきなりローギヤ「39T×23T」だ。
「なんてこった!」
さすがに出場するメンバーもヒルクライマーが多く、間違いなくこのメンバーでヒルクライム・タイムトライアルをすれば俺はワースト10に入るだろう。
登れば登るほど、横からどんどん抜かれていく。気合いを入れ直してもがきまくる。これで誰にも抜かれないじゃないか!と思ったら、ほとんど最後尾だった。
登り切って数人のグループで集団から遅れる。しかし、集団もスピードが落ちたので難なく追いつく。2回目のヒュイの壁は40キロ弱ほどしてからだ。
その前に「アメイ峠」が待ち受けている。1キロほどだがかなりの勾配。そして登りはじめていきなり雪が降ってきた。
アルデンヌ地方は「下界」に比べて気温が3〜5度は低い。森に入るともっと寒い。俺は雨に備えて防寒対策は完璧。みんな寒くて登りのスピードが落ちる。ちょっと助けられた気分。
ヒュイの壁に向かって集団のスピードが上がり出す。2回めを通過すると、すぐに「フランス峠」がやってくる。
俺も1回めで登りの特徴がだいたい分かったので、集団の前で登り始めるように集団の前に行く。主要選手もみんなナーバスで、カーサグランデ(ファッサ・ボルトーロ)やボーヘルト(ラボバンク)らもいる。
あと3キロで登りと言うところで落車発生。幸いファンハックは巻き込まれていないようなので、そのまま走る。ベッリなどの一部主要選手が巻き込まれたいようだ。
さぁこれから登り!と言うときに、コースを観客が塞いでいる。タイヤで有名なコンチネンタル社の従業員によるデモだそうだ。警官隊と衝突、多分だが警官隊が発砲(多分、空砲?)、5分ほどだがレースは中断。
その間にも後ろの選手は自転車を担いでどんどん前に移動していく。俺は運悪く審判車の真後ろで動くに動けない。そうしているうちに気が付くと集団のほぼ最後尾になっていた。
登りの中盤で集団の最後尾にいたベッティーニに抜かれた。あとは千切れたジャラベール(CSCワールドオンライン)、ら10人のグループに。
その後フランス峠まで追走するが、集団に追いつかずリタイヤした。
多分デモがなくとも最終的には力尽きただろうが、力尽きて終わったわけじゃないので不完全燃焼で不本意だ。
初めて走ったフレッシュ・ワローニュは、こうしてあっけなく終わってしまった。
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